





保護について
本来の「保護」とは
本来、「保護」という定義は、飼い主が飼えなくなった・劣悪な飼い主のもとからレスキューされた・迷子になったケースなど、一度は飼われていた動物を救い出す行為を指しています。あるいは、野良だった犬や猫を家庭に迎える行為を指すこともあります。
例えば、虐待されていた犬が保護団体に助けられた際に愛情を持って家庭で迎え入れるとか、道でお腹を空かせている子猫を拾って、家庭で飼育するために病院に連れて行って家族になるなど、善意からくる行為を指していると捉えられることが多いのです。
では、どのような子が保護となるのか?
1.ブリーダー崩壊
全てのブリーダーがそうではないという前提ですが、動物愛護の精神の真逆のような環境で多数の犬や猫を育てて売るブリーダーもいます。とあるところで600頭以上の犬猫を劣悪な環境で飼育していたことで、ブリーダーの経営者が動物愛護法違反で逮捕されたニュースは、メディアでも大きく取り上げられました。
2.不健全なブリーディング
「小さい」「見た目が可愛い」「毛が抜けない」など様々な結果を求めて、体外受精も含めて無理な交配が行われているケースがあります。デザイナー犬と称される純血同志のミックスは、どんな要素を持って生まれてくるかわからず、当然遺伝性疾患のリスクも高いと考えられます。その過程では、遺伝性疾患を持つ犬や猫が生まれてくるリスクも上がります。そのような過程で疾患を抱え生まれてきた犬や猫は、当然ペットショップでは売れず迎えてくれる家族を探すのはかなりハードルが高い状況に陥ってしまい、「保護」の対象となります。
3.繁殖引退犬
ブリーダーで繁殖をしていた犬や猫はその後の命を愛ある家族と共に過ごす必要があります。本来は、繁殖を引退した犬や猫はブリーダーが生涯面倒を見るか、ブリーダーが心ある方を探して家庭で安心して生活するべきです。それがブリーダーの義務でもあります。ただ心ないブリーダーの元で繁殖をさせられていた場合、繁殖回数等を正しく管理されず身体がボロボロになってしまっている犬や猫がいるのも事実です。ろくに運動もさせてもらえずケージの中に入れっぱなしになっている犬や猫が「保護」されるケースもあります。
4.多頭飼育崩壊
多頭飼育崩壊とは、ペットの数が増え、経済的にも破綻し、ペットの適正な飼育ができなくなった状況のことです。多頭飼育崩壊に陥った飼い主の多くは、悲惨な現実を見ようとしません。飢えや苦痛に耐えるだけの毎日はペットの心身に悪影響を与えるほか、悪臭などによって子供が学校でいじめにあう、周辺住民の生活環境が損なわれるなど、近年大きな社会問題となっています。
5.飼い主の知識不足
「コロナ禍で寂しかったから買い始めた」とか、「ペットショップで目があってしまったから」などの理由で事前知識がないまま衝動的に犬や猫を飼ってしまう飼い主も多くいます。その結果、飼いきれなくなってしまう無責任な飼い主のせいで、「保護」される状況に追い込まれる犬や猫も増えてしまっています。
今後は動物愛護法により飼育できる数値規制も徹底されるため、残念ながら心ないブリーダーから手放されてしまう犬や猫も保護対象となることが見込まれています。
様々な要因で犬や猫が「保護」される可能性があることをお伝えしてきましたが、もちろん保護された犬や猫に罪はありません。そもそも犬・猫はモノではなく、感情のある生き物、家族の一員として捉えています。ペット業界の量産体制、また、ペットを扱う業者の過度な営利主義、さらに飼い主の身勝手な行動など多種多様な要因が複雑に絡み合って「保護」される犬や猫が増えてしまう状況を危惧しています。

私たちがすべきこととは
保護犬猫たちは、それまであまりいい環境で生きていないことが多く、医療費がかかることは珍しいことではありません。その経緯を納得した上で迎えるなら問題ないでしょう。しかしながら、知らず知らずのうちに保護ビジネスともいえる営利活動に加担してしまわぬよう、見定める賢さを持つべきです。
保護犬猫たちには、さまざまなhistoryがあります。外で暮らした経験がある子には、虫をおいしそうに食べる姿が見られることもあります。ブリーダーから保護された場合、トイレトレーニングはされて いないことが多く、室内で粗相をすることも多いでしょう。またずっとゲージ暮らしの繁殖引退犬の足腰は弱く、歯ももろいかもしれません。多頭飼育崩壊のような現場で、近親交配によって生まれた子は、残念ながら寿命が短い可能性だってあります。
また、身体的なダメージ以外にも、男性を怖がる、手をあげると逃げる、といったトラウマを抱える子もよくいます。そんな子たちも、安心できる場所で飼い主さんと信頼が築けたら、私たち人間の都合で刻まれたつらいhistoryを帳消しにしてくれたかのような、幸せな姿を見せてくれます。ありのままを受け入れ、その子が輝きを再び取り戻せるまで、辛抱強く寄り添える飼い主でありたいものです。
迎えた子によっては、脱走防止柵が必要になるかもしれませんし、犬に優しい床に変えねばならないなど、家を犬猫仕様にする必要が出てきます。また、転勤や結婚、出産など自身のライフスタイルの変化を想定し、万が一の場合の預け先や、家族・知人の協力などを事前に考えておくべきでしょう。
そして、犬猫は人間の何倍も速く年を取ります。いつまでも健康でいてくれるよう、健康面の管理につい て勉強をし、万が一に備えることは飼い主の大事な義務です。
最後までご覧いただきありがとうございます。どの子も幸せになれるよう、皆様の愛の手助けをお願い申し上げます。
